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64 [小説]




ドラマ化や映画化もされている、横山 秀夫著『64』。
推理小説ですが、これはD県警シリーズに属する話の1つです。
刊行は単行本が先で、言い回しや表現をより深化させた加筆修正をしたのが上下巻となります。
物語を一気に読みたいという方は単行本版を、より深く味わいたいという方は上下巻を読まれると良いかと思います。



さて、小説のあらすじですが、まず物語全般の背景として、昭和64年の、D県警が担当したある誘拐事件が出てきます。
この事件の捜査は難航し、県警はこの事件を、本のタイトルでもある、「64」と呼ぶことにしました。
物語はこの事件を背景に主人公の三上 義信という広報官の行動で大きく動いていくことになります。

上巻では主人公の三上がその事件を背景とした問題に巻き込まれていく様を、下巻ではロクヨンと新たな問題に対して、主人公なりに立ち向かっていく様が描かれています。

少しずつ事態が動いていく中での、事件発生や警察とマスコミ、警察という組織に属する人々、三上 義信という家庭と警察の仕事に悩み進んでいく1人の人間、これらの思惑・思いが交錯し、緩急良く物語を演出してくれています。

映画化、テレビ化もされた、しかし、その実は重厚な推理小説。
ご一読なさってみてはいかがでしょうか?





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想像ラジオ [小説]



2014年本屋大賞ノミネート、紀伊國屋書店スタッフおすすめ「キノベス! 2014」第1位など非常におすすめされている、いとうせいこう著、死者と生者の小説「想像ラジオ」。

~あらすじ~
ある杉の木に引っかかったDJがラジオ放送を行い、少しずつ反応が返ってきます。
しかし、このDJもリスナーも死んでおり、このラジオは想像によってつながっていたのです。


この本は東日本大震災で被災した方々の物語といえるものです。

この物語は小説ですが、それと同時に、読者である私達自身が、登場する人々のことを想像することが強く求められています。
現実の人は、決して普通の小説のように感情が分かりやすいわけでも、今の気持ちに確実な答えがあるわけでもありません。

この小説は死と生という観念的なものを扱っているために難しい本です。
でも、だからこそ、普段見ないものをみることができるでしょう。




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村上海賊の娘 [小説]




村上水軍とそのリーダーの娘を中心に書かれた歴史小説「村上海賊の娘」
本屋大賞も受賞した人気作です。

この作品は上巻・下巻に分かれており、戦国時代を舞台にした、村上武吉の娘「景」を主人公に据えています。
この主人公は当時の人々からみると美しくない人で、普通に嫁ぐのは厳しいタイプでした。
(現代人からみると「あれ、これって」みたいな外見です。詳細は作品のなかで。)

さて、この物語は 第一次木津川合戦の史実を基にしています。
この合戦は、本願寺と織田軍の戦いの中、本願寺から物資の運搬を頼まれた毛利軍と織田軍の戦いで、毛利軍は村上水軍にも支援を要請しました。
村上水軍とは、今作の主人公の父でもある村上武吉率いる瀬戸内海を中心に活動していた水軍です。
(海賊という名称が使われていますが、史実では海上警備などまっとうな仕事をしていました。)

~物語のあらすじ~

上巻

本願寺は毛利家に物資運搬の協力を要請し、それを受けた毛利家は、村上水軍にも支援を要請します。
一方、主人公の景はひょんなことから自分を綺麗と思う者が多いらしい難波へ向かいます。
そこで、話に聞いた通り地元の海賊達から厚遇されます。
そんな折り、ある戦いが起きました。
今まで戦に憧れていた景はむしろ楽しむふうでしたが、相手方が兵を戦に仕向ける手法が気に入らず、また、自分と共にいた海賊とも考え方の相違が生じ、自分を曲げたくないと思いつつも傷心し、家に戻ります。

下巻

家で憧れの戦から逃げていた景。
しかし、あることにより一念発起、再び戦へと身を投じます。
海上で織田の水軍と毛利方の水軍が戦い、村上水軍もその渦中へと入りこんでいきます。
そして、これまでの思いを通して、かつての自分から何倍も成長した景は戦の真実を見つめつつ自らも戦っていくのです。





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ルーズヴェルト・ゲーム [小説]




現在テレビドラマでも放送中の「ルーズヴェルト・ゲーム」

この本のタイトルは点を取られたら取り返し、8対7で決着をつけるという意味で、これはF・ルーズヴェルト大統領がとある手紙の最後に「一番面白いゲームスコアは8対7だ。」と記したことから由来しています。

この作品は社会人野球にスポットライトがあてられていますが、その野球部の中身の話だけではなく、会社の経営や利害の話など、様々な外部環境の描写もあるものとなっています。

~物語の簡単なあらすじ~
青島製作所は経営の危機に瀕していました。業績も振るわず、資金繰りも難航し、大規模な事業の縮小やコストカットなどの何かしらの手を打たなければならない状況です。
そんな青島製作所にはかつては名門と呼ばれていた野球部があります。しかし、現在は大きな活躍をできずにおり、会社の広告塔としての役割を満足に行うことができないでいました。おまけに、主力選手や監督が抜けてしまった影響で戦力は大幅に下がっていました。
そんななか、とうとう社長の細川は、コストカットの一環として野球部を廃部しようとします。しかし、この野球部は会社にとって伝統的なもので、簡単に無くせるものではないという意見が出ました。

野球部は廃部を免れるために、会社は倒産を免れるために、このそれぞれの苦境から、野球部と会社の再起への戦いがはじまります。





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